Good morning TOKYO

 私が通勤時に車の中で聴いている J-wave のラジオ番組です。この番組のナビゲータを長年務めてこられた、ジョン・カビラさんが、今日でこの番組を離れられるそうです。というわけで、今日は放送最終日でした。
 番組が終わるとか、担当者が代わるとかいう話は別によくある話だとは思いますが、この番組とナビゲータに限っては、とても大きなイベントだったりします。なにしろ、この番組、そしてジョン・カビラさんは私が J-wave の試験放送を聞いた中学生時代(たぶん)のお話でした。とっても長いです。途中、留学のため日本から離れたときを除いて、平日、通勤・通学の前や途中でほぼ毎日聞いていました。各国の時間のアナウンスと Good Morning TOKIO の叫び声で始まる番組はとても印象的で、番組も面白かったと思います。
 私は、当時ウォークマンを買うときに、必ずラジオつきを買っていました。ひとえに、J-wave で、特にこの番組を聴くためだったりします。回りではそういう人はいなかったので 「ラジオつきなんて年寄りくさい〜」 なんてよく言われたものですw
 そのジョン・カビラさんが、長い旅に出る、とだけ言い残して、最期の放送を終えました。以前も普通に1週間程度の休暇をとられたりしてお休みな事はありましたし、1年近い休暇もありましたが、どうやら今回は、本当に番組を「離れる」ようです。彼とこの番組の歴史は、J-wave の歴史であったと思います。
 前にも書きましたが、J-wave は私はとても好きな放送局でした。結構いろいろな人が、中高生時代に 「ラジオ」 を自宅で聴くようなことがあったりしたようですが、たいていは AM だったようです。しかし、私はまったく興味がなく、面白さもわからなかったため手を出しませんでした。かといって、FM も "FM 東京" は内容的には AM とかわらず 「単に音質がよい AM」 でしかありませんでした(当時は NHK FM と FM 東京しかありませんでした(多分w))。
 そんななか、J-wave がまったく異なる路線で異質な FM 放送を開始しました。音楽ばっかりで、人はほとんど喋らない。喋ったとしても、英語だったりします。他局で多かった 「リクエストとメッセージ紹介」「リスナーのはがき読み上げ」 といった私には何の魅力も感じない内容が、ゼロ。音楽は心地よい BGM として、英語のナビゲートは素敵な雰囲気作りでした。CM もそれほど多くなかったと思います。
 あまりにも人が登場しないので 「駆け出しの放送局だし、高価なナビゲータ(人)を雇うお金がなくて、誰かが細々と CD を一生懸命まわしてるのかな〜」 みたいな邪推をしたりもしましたが、個人的にはその、のんびりした感じの音楽と、たまに聞こえる人の声という放送局の 「色」 は私にとてもあっていたわけです。ラジオを聴かないし、興味を持たなかった私が、たまにラジオを聴くようになった瞬間でした。
 ところが、私が留学して日本を不在にしている間に大きな変化があり、前に書いたとおり、いまや FM 東京や AM ラジオにかなり近くなり、音楽も流行の日本のリズム系歌詞入りの音楽中心で、メッセージ(今時なので葉書ではなくてメールですが) の読み上げ、そして、何よりも私が嫌いだった 「BGM もない中、ナビゲータが一人でブツブツ喋っていて、たまに葉書を読み上げて一人で盛り上がってる」 という AM 放送的な内容を J-wave で聞いたときはとてもショックでした。
 帰国して、ラジオを聴く余裕ができて聞き始めた J-wave には耳を疑いました。これが J-wave? 何があったの? という感じです。その他にも、なにやら時事問題をあれこれするような 「肩肘の張った」 番組が増えたりして残念な限りです。あとから知った話ですが、日本が不景気になってから、しだいに当初の路線ではスポンサーがつかなくなり、そのためポリシーを捨てて一般受けする番組構成となり、選曲にもこだわりがなくなったようです。まぁ、資金あっての放送局なので仕方がないとは思いますが、裏を返せば、そういう放送局はすでにあるので、存在意義がかなり薄れたとも思っています。
 そんな中、J-wave を今でも聞く気になる番組が二つ、一つは、夕方から放送されている 「GrooveLine」 で、もうひとつが、この、ジョン・カビラさんの 「GoodMorningTokyo」 でした。特に、カビラさんのこの番組は、J-wave らしさを色濃く残していると思います。昔は、誰もがこういう感じでした。そして、そのカビラさんの番組も、こうして幕を閉じてしまいました。
 別の放送局では、たまに聞く InterFM も似たような路線で、現在でも 「Tokyo's No.1 Music Station」がキャッチコピーになっています。これって、J-wave が試験放送時代にいっていた 「喋りよりもよい音楽を(音楽8割、喋り1割、情報(天気とか)1割、だったかな?)」 とかなり似ています。J-wave はすでにこの方針を廃棄してしまっていますし、InterFM もその傾向が見られます。やはり、スポンサーの都合でしょうか。
 同じく、BayFMJ-wave に似た時期にスタートした放送局で、スタートした当時は 「なんか、流行の J-wave の二番煎じみたいなのができたね〜」 という感じでした。ただ、どちらかというと BayFM はすこしカジュアルというか、かわいい感じがしていたので、それはそれで好きでした。また、ライバルである FM 東京も TOKYO FM と改名して、今までは AM と似たような事しかやっていなかったものが、一転、音楽と英語のナビゲートを多用した 「J-wave スタイル」 に変化したのもよく覚えています。あ〜、それだけ、人気があったのね〜、と思いました。
 そんな感じで一斉に首都圏の FM 放送界が変化をした割には、結局今はどこもほとんど昔に戻りつつあるのは、放送局に共通してスポンサーの都合というのがあるのでしょうね。悲しい限りです。それでも、J-wave 登場以前と今ではやはりかなり違いますから、設立当時の J-wave の影響と、設立当事に掲げたコンセプトの残した功績は大きかったと思います。
 それにしても、私の楽しみにしていた番組からカビラさんがいなくなってしまうのはとても残念です。後任の方も、それはそれで素敵な方なのかもしれませんが、やっぱりカビラさんから変わってほしくはなかったです。やっぱり、形あるものも、形ないものも、いつかは崩れるという事でしょうか。いずれにしても、カビラさん今まで長い間お疲れ様でした。素敵なお目覚めを、ありがとうございました。