質問に答えよう

かしつきくん

 普段の雑談は別として、ですが…。ある程度真面目な質問と回答の場合、次のようなやり取りをする人が結構います。

  • Q:「カラスは鳥類に含まれるか」
  • A:「含まれる」

 個人的にはこういうのは苦手です。まぁ、会話で 「カラスって鳥類に含まれるのかなぁ」「うん、含まれるよ〜」 というのなら全く問題ないのですが、雑談を求められないオフィシャルな会話や、特に文章での問いの場合、このやり取りはかなり不自然というか異和感たっぷりです。学生さんなんかの場合は、ペーパーテストを思い出していただけるとわかりやすいかもしれません。おそらく、こういう答え方をしている人が多いんじゃないでしょうか。
 もちろん、私は別に、言葉・会話は通じればいい、いわゆる道具だと思ってますので、国語だの日本語だの文法だのあれこれ並べるつもりはありません。文法は法とついていても、法律にあらず。たんなる参考でしかありません。
 じゃぁ、どうあるべきなの? というと

  • Q:「カラスは鳥類に含まれるか」
  • A:「はい」

 こうなります。質問は、Yes/No を問うものであって、たとえば 「朝食に何を食べましたか?」 というのとは違います。求められるのは、はいか、いいえです。なので、質問されたら 「はい」 と答えるべきでしょう。それなのに、はい、とも、いいえ、ともいわず、質問者の言葉の一部を反復しているのは質問の受け答えとしてはとても違和感を感じるのは、私だけでしょうか。
 会話の上であれば、聞き間違いや答え方も間違いを防ぐために、念のため、繰り返すとしても、まずは、はい、か、いいえをきちんと答えた上で繰り返すべきだと思います。たとえば 「はい、含まれます」 といった感じにです。それですら、本来なら 「はい、そうです」 程度にするべきです。質問された内容は、質問した本人が一番よく分かっているのですから 「含まれます」 という単語を繰り返して相手に返すことは、かえって失礼ではないでしょうか。それを、一番大切な、はい、か、いいえを答えず、「含まれます」 だけを繰り返すのはおかしなものです。
 会話であれば、はい、というのはたまにどちらを指すのかわからない場合があったりするので、念のために付加するのは、状況によっては完全になしだとは思いませんが、これが問答ともに聞き間違いがあり得ない紙の上に書かれた質問であれば、全く意味をなさないと思います。ところが、紙の上でこそ、こういう変な答え方をする人が多いので、困ったものです。
 会話の授業をして、TOEFL のように言語能力テストをするとしたら

問題: A の問に対する適切な解答を次の中から選べ
A:「D27-1に関する研究結果はすでに証明されている物か?」
B:↓

  1. 「はい」
  2. 「はい、そうです」
  3. 「はい、すでに証明されているものです」
  4. 「すでに証明されている」
  5. 「証明されたのは1982年です」
  6. 「証明された研究結果です」

…正解は、1 と 2 です。