今日のぐるぐる

 検索力検定なんていう言い方があるくらいなので、検索エンジンも目的の情報を的確に探し出すのにはそれなりに慣れとスキルが必要だとは思います。また、検索エンジンの使い方がある程度わかっていても、検索しようとする内容によっては基礎知識が必要です。まぁ、マメな人なら、基礎知識からして検索に検索のジャンプをしていくんですけどね。あとは複数の検索結果を参照すると化して整合性を取ったり。
 それは良いんですが、その基礎知識がない状態で、憶測で検索を突き進めた理由は何でしょう。そもそも、先輩や同僚に訊かないで、Google 先生に訊く理由は…?
 答えは一つです。以前も書きましたが 「質問を受ける側の体制ができていない」 って言うこと。あえて意地悪な言い方をすれば、質問すべき相手として 「なってない」 という事。質問してこないのは相手が悪いんじゃなくて、自分たち自身が質問されるような、受け入れ体制があるか考える必要があります。
 勿論気持ちの上では 「訊いてくれば答えてあげるよ」 という心づもりくらいはあるかもしれません。でもそれだけじゃダメなんです。訊きやすい雰囲気を作る、機会を作る事が大切。忙しそうにしていれば質問しにくいのは当然。特に、学生上がりだと 「年上=エライ」 という部活根性が残っているので、びくびくしているかもしれません。
 なので、なるべくフレンドリーに、きさくに質問できるように…とは思うのですが、それをいうと 「幼稚園じゃないんだから、こっちが気を使って質問できるようにする必要はない」 とか 「訊きづらくても乗り越えて質問する根性が必要」 とかの精神論を展開してしまう人もいるので困りものです。「私も苦労したんだから」 とか言い出したら目もあてられません。苦労したら成長するという考え方は既に昭和です。そういうのも含めて、上に立つ人のスキルです(キッパリ)。それができないなら、上になんか立たず一生 「デキる下っ端」 でいるべきです。
 つまり、Google 先生に頼られてしまったら、後輩から見て自分は知識不足だったり教えるのがヘタだったりして相当頼りなく見えるのか、もしくは、質問しづらい雰囲気を抱えている、等の原因を考えた方が良いかもしれません。誰だって質問しやすいところに質問するものです。
 とはいっても 「そんな、私、質問には笑顔で答えているし、それなりに自信のある分野だから丁寧に教えてるよ」 なんて思う方もいるかもしれません。そう、場合によっては本人に非がないこともあります。どんなに理想的な教え方をする人でも、訊いてくる方が最初から選択肢に入れていない場合があります。
 というのも、この辺りは 2ch 文化があるかもしれません。もちろん、その人が 2ch を見ているとは限りません。広義には、ネット社会の文化の一面です。何かというと 「わからないことがあったら自分で調べなさい」 という文化。別にネット以外でも(ダメなところほど)存在していますが、罵詈雑言言い放題のネット、しかも 2ch だからこそ一番よく発育する意見です。
 これを調べていくと、どうやら定型のフレーズとして 「ググレカス」 というのがあるようです。これは、質問してきた相手に対して 「質問なんかしないで自分で Google で調べなさい」 というのを、言葉悪く言っているもののようです。つまり、質問するだけ不快な思いをして、無駄になるだけ。
 この単語を元に検索してみると、かなりの場所でヒットします。何か質問されていると、このフレーズで返すのが、漫才のボケとツッコミみたいに出てきます。それが冗談ではなく本当に質問自体を封じてしまっていて、誰も回答を書かなかったりするあたり、私にはなじまない文化だと思いました。助け合い精神ゼロ。お世話した人にはいつかお世話になるかもという発想はないのです。
 結構、2ch をしょっちゅう見ていたり、場合によっては見ていなかったりする人でも、そういう話を耳にするようで単語自体は知っていたり、風習を知っていたりするようです。もちろん、ネット以前から質問するのが悪いこと、とするような、スポーツするときは水を飲んではいけない、というのと同じ変な思想があったりするので、根は深いのです。その為 「質問すると怒られる。自分で調べないといけない」 なんて言われながら育ったような物かもしれませんね。
 こうなると、会社に入っても、やっぱり質問しないで自分で調べないといけないんだろうなぁ、わからないからと質問したら、自分で調べないと 「ググレカス」 と言われるんだろうなぁ、なんて、無意識のうちに思ってしまうかもしれません。
 先述の通り、ただでさえ(友達どうしても)質問して手を煩わせるというのはしにくいこと。そこでネットの文化(の一面)がさらに拍車をかけてしまいます。質問される側に、絶対にそんな事は言わない、丁寧に教えてあげるよ、という意識があったとしても、すでに質問者自身が外に質問する気になっていないのでどうにもならないわけです。
 その結果、自分で曖昧ながらも調べて、その調べたことだけを確証が持てなくても、それを真実だと見なして進むしかなかったりします。質問される側からしたら、どうして早く質問してくれないのかな、とか、調べてないで質問してくれればただせたのに、なんて思う瞬間です。けれど、質問することは悪いことだという押しつけがある以上、質問されないのはもはや当たり前です。
 まあ、この 「どうして早く質問してくれなかったのよ」 というセリフは、往々にして、質問しに行くと不適切な態度を取る、到底質問する相手にはなり得ない人が口にして驚かされるわけですが、最近はネットの影響で、質問するのに適した相手ですら、そのセリフを口にせざるをえない場面があるようです(前者は被質問者に非がありますが、後者は被質問者に非はない)。
 その為には、ネットと違って、会社では思いついたらすぐ、気楽に質問していいのよ、と人こと言ってあげると良いかもしれません。また、同時に 「質問したからと言って、自分で調べろとか、ググれなんていう意地悪な人はこの会社にいませんから」 と、わざと周囲に聞こえるような声で言うのが良いかもしれません(w
 調べるのは、本で調べようとネットで調べようと同じ事だと思うので、私はどちらも推奨しませんが。やっぱり、人に教わるのが一番です。良い師匠に出会えるかどうかで、その人の人生変わるかも? 裏を返せば、自分が師匠になる場合、自分の対応一つでその人のこれからを左右するくらいの覚悟で、丁寧に接してあげてほしい物です。
 質問してこないと思ったら、質問しに来ないことを責める前に、まずは自分(自分たち)の思想と行動を再チェックして 「ググレカス」 が職場に存在しないか、反省しないといけないと言えます。