ループバックせず

 学生時代、ノートを取るのは比較的まじめにやっていました。まぁ、小説書いたりしていた授業もありますが、そういう授業は大抵ノートをとろうにも、黒板にあまり書かない先生だったりして、いわゆる "書きたくてもかけない" 状態だったりするわけです。先生、黒板書いてくれないと、ノートがまったく埋まりませんよ! マンガ書いちゃいますよ! でマンガ執筆開始。
 まぁ、ノートを書いているか小説を書いているかの違いでしかなく、授業を聞いてないという意味では同じなんですよね。実際、苦手になったときには、黒板に書きまくらないで高等で解説してばかりいる先生の方が、ノートに時間を取られない分話をきちんと聞けるので覚えるのも早かった気がします。黒板にがりがり書かれると、ノートを書くだけで精一杯で何も頭には入りませんw
 さて、ノートをせっせと書く理由の一つに、人に貸すため、というのを前書いたことがあります。高校時代から付き合いのある友達と話していて指摘されるのは、私のノートはとても評判が良かったらしいことです。別にほめてるというよりは、なにしろ 「ノートの持ち主より、どん底で貸された人が逆にいい点を取ることで有名」 でした…。
 私が、授業でイマイチわからなかったり、これは手に終えないなぁ、なんて思ってお手上げ、定例試験でもその部分はすっかり落としたと思って、おそらく休んじゃったり授業を聞いていなくてノートがないからとかしてあげた友達に 「できなかったよね」 と傷をなめあうために話しかけてみたりするわけですが、バサッと切り捨てられ 「余裕だったよ〜、ありがとう」 なんていわれたりします。
 「え、え? 授業に出ててノートもとってた私がわからなかったのに、休んで私のノート借りただけのあなたがなんで?」…いや、私がおばかだと言われればそれまでですが、そうそう差があるわけじゃありません。ひとまず、ビックリしてると 「だって、ユイのノート、すっごくわかりやすかったもの。あれ見れば、みんな点取れるよ〜」 とかなんとか。
 まぁ、確かに私のノートは、当時から創作意欲だけは人一倍旺盛だったので、マンガや小説だけじゃなくて、ノートにも凝ってました。8色のカラーペンを使い込んでキャラクタのコメント入りの解説や一言アドバイス、ポイントクローズアップ、などなど。まぁ、自分しか絶対見ないならここまでしなかったでしょうが、たまたま貸した時に評判が良かったので、次第に見せる事前提で凝るようにもなりました。
 そんなわけで 「バカでもわかる」 と言われる私のノートでしたが、そのノートを書いてる本人は、黒板写すのに精一杯でサッパリ理解したり考える時間がなくて、まるでダメなのでした。他の人が私の点数を知りようはないのですが、テストを終わってから 「あれ、できなかったよね」 的会話で私だけできていないところから、お察しはいただいてたようです。
 …と、これまでならまぁ、他人が幸せになってめでたしめでたしなのですが、幸か不幸か、私が作ったノートです。結果的に 「やけに複雑で難しい問題の回答は出るけど、簡単な問題は解けない」 という変な現象が、ノートを借りた人全般に発生する始末になりました。呪いがかかっていたようです。