消費者のわがまま

 電気商品を買うと、大抵保証がついてくるわけですが、これがほとんどの場合一年です。昔はあまり気にならなかったのですが、最近はこれが短い気がしてなりません。元々、昔はなんとなく、買った商品が自分の物になって、あとは壊れるかどうかは運、みたいな感覚があり、1年くらいたって壊れても、あぁ、運が悪かったのね、とか考えてたように思います。
 でも今は、なんとなく、1年くらいで故障したりすると 「え、なんで?」 と思ってしまいます。今時の製品、特にコンピュータなんかだと、1 年くらいで劣化したり磨耗したりして寿命を迎えるような気がしないわけです。だから、故障すると 「元から不良部品だったんじゃないの?」 的に考えてしまいがちなのかもしれません。
 例えば、小さい頃のおもちゃとかだと、物理的稼動部分が多くて、これはやっぱり磨耗する気がします。これだと、1 年くらいで、保証は切らせてもらいます、的なのはわかる気がするのです。でも、磨耗しない PC 部品なんかだと、1 年くらいで 「壊れました」 というのは、なんとなく 「ハズレをつかまされた」 気がしてなりません。
 大げさな話、年数に関係なく 「落としたりぶつけたり水をかけたりでもしない限り、壊れるのはおかしい」 的な考え方にならないでもありません。もちろん、製品の製造精度もあるでしょうが、そうなってくると今度は 「もし故障したら、それは製造に問題があった製品だからなので、無料で修理してほしい」 とか思ってしまうわけです。
 最近では、DELL のように標準で、3年間当日オンサイト無償サポート、なんていうのがあったり、そうでないものもパーフェクトワランティーとか、アドバンスドサポートとかワイド保証とかの名称で、オプション的に保証を拡張できるサービスがあり、そういう考えを助長してしまいがちです。あれば、そういう保証をつけますが、ない場合、1年過ぎて壊れて保証がないと、逆に変な感覚を覚えてしまうわけですね。「私何にも悪い事してないのに何で壊れるのよ→製品が悪いんだから無料で直してよ」 ですね。
 ただ、これって、消費者の一方的な視線で見た、わがまま。逆に考えて見ると、私が何か工作して、それをコミケで売ったとします。それが、1 年くらいまったく問題なく動く事を保証すると言うのは、相当重荷というか、精神的につらいです。半年以上たって 「壊れたから無料で直してください・交換してください」 なんていわれたら、儲けどころか赤字になりますし、何よりも面倒です。
 実際、例えそれが、そう簡単に不良品を生み出したり壊れるような性質の物ではなかったとしても、やっぱり不安なわけです。なんだか売りたくなくなります。むしろ、1 週間くらい動いてたら、あとは知らない、といいたい気分です。
 コミケと業者は違うでしょ、的な言い逃れもできそうな気がしますが、実際問題それは錯覚であって、同じなんですよね。規模が大きいとか、儲かってるんだからそれくらい面倒見れるでしょ、というのはちょっとエゴ。企業がダメージを受けて消費者を救うというのは昨今ありがちな「お客様万歳思想」 で登場しがちですが、本来、違法な製造でもしてない限りそんな義務はないわけです。最近は、民間企業を、公務員とかお役所みたいな「市民優先」の自己犠牲の無償サービス団体と勘違いしてる人が多い気がします。
 まぁ、考え方として 「この品物をあなたに上げるから、お金頂戴」 ではなくて 「この品物を使わせてあげるからお金頂戴」 的なほうがすきなのかもしれませんね。でも、レンタルは、自分の物になっていないと落ち着かない人なのでダメですから、使わせてあげる&これはあなたの物です、宣言が必要ですがw
 要は、例えば VAIO 買ったら、飽きて売るか落としたり濡らしたりして壊すまで使えることを保証してくれるっていうのは意味が大きいわけで、そういう意味で、PC としての性能上の寿命である 3 年くらいまでは保証してくれるオプションをつけて、擬似的にそういう環境を作り上げてるわけです。
 もっとも、NotePC の場合は、落として壊したら、とか、持ち歩いて使うのでどうしても故障しがち、というのがあるので、標準の補償範囲ではなく、年数だけではなくてカバー範囲、つまり、過失による故障(落下、水濡れ、盗難など) を保証してくれる意味合いがかなり強いです。
 個人的感覚としては、カバー範囲も広い延長保証は有償で支払う意味があると思いますが、カバー範囲は旧来と変わらないものであれば、格安(1000円程度)か、無償でつけてくれるといいな〜、と思うのでした。DELL は落下とかはダメでも、元から無理やり 3 年保証なのでその辺は安心ですね。DELL の NotePC は今のところかってないしw