生理的に?

 先日お外で 「生理的にすかないといわれるとマジムカツク」 という言葉を耳にしました。まぁ、人それぞれ過去のいきさつなんかでトラウマになってる単語やフレーズはあるでしょうが、この、生理的に好かない、という言葉はどんなものでしょう?
 私もたまに使います。これ、文字通り、生理的に好かない、つまり、理論や思考によるものではなく、体が受け付けない、無条件でとにかくダメ、という感じです。キライなもののほとんどは、それなりの理由があり、それを私はとくと述べます。納豆がキライであれば、あのネバネバした感じがキライとか、匂いがひどいとか、そういう 「なぜ」 の話です。
 生理的にキライ、という言葉を使う時は、そのキライな理由を説明できない場合がほとんどです。場合によっては、説明するほどキライな理由を頭で考えたことが無いだけの場合もありますが、大抵は、なぜといわれても何時間考えても論理的理由を言葉にする事ができない場合です。キライである理由はないんだけど、体が受け付けない、そういう感覚です。
 これは、往々にしてマクロな部分についていわれることが多く、例えば先述の納豆の例で言えば 「なんでネバネバしたのがイヤなの?」 と言われたりした時に 「なんか、他人のつばとか腐敗物が入っているみたいでイヤ」 と回答したのに、さらに 「なんでつばとか入っていたらいやなの?」 と問い詰められた場合に、さすがに理論的理由はなく、体が受け付けない、理由なく背筋に悪寒が走る、だからダメ、まさに、生理的に受け付けないとしか表現がありません。
 また、別の機会をいえば 「納豆はおいしいんだから食べなさいよ!」 ときつく言われた時に 「だめ、生理的に受け付けない」 と答えることもあります。これは、理論的に好きになる理由を探したり努力しても、脊髄反射でそれを受け付けることができない場合に、どんなに努力しても無駄なのでもう、体が受け付けない、生理的に好かないわけです。
 他にも、人や風景、シチュエーションなど、いろいろな面で、理論では説明できない感覚的なものだけを理由として悪寒が走り、好きになることができないものが、生理的にキライ、という表現になります。
 まぁ、これを 「納豆を(本当は好きになってあげたいんだけど、体が)生理的に受け付けない(ので、私が悪いんじゃなくてしょうがないでしょ)」 という感じで使う人がいますが、これはちょっと特殊な例だと思います。好き好みについては、本人が悪い事は特にないので言い訳をするつもりはないのですが、例えば人に対して 「あなたのことは生理的に好かない」(ので、人のことを嫌うような悪い事をするのは私が悪いわけじゃないのよ) という使い方をするのは、ちょっとイマイチです。
 いずれにしても、あまり使う人を私自身以外ではあまり見たことがないのですが、皆さんの中にも、生理的に受け付けない、生理的に嫌い、というものはいっぱいあるのではないでしょうか。私は理系で論理的思考と行動を基本としてはいますが、人間自体が生理現象の塊である以上、自分の意思と理論を越えたレイヤーで拒絶反応が起こる事について否定することはちょっと難しい気がします。