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 製品を買った時についてくるマニュアルの事です。マニュアルを読まずまずは使ってみるという冒険心というか探検心の魅力というお話…ではなく、このマニュアルの 「存在」 についです。
 製品を買う時に、その評価として 「マニュアルがわかりやすいかどうか」 というのはあると思います。あまり読まなくてもわかる性格の製品や、自分がその系統の製品に精通していて読まなくても感覚でわかるようなものは別として、マニュアルがわかりにくい事は、その製品を使いこなす妨げになり、結果的に、その製品が持っているすてきな機能が活かされることなく 「なんか使いにくい製品」 として悪評を得る事になります。
 そういう悪評に対し、RTFM の精神、いわゆる 「マニュアルくらい読め」 というつっこみをする人が、必ず出現します。しかし、これは教えて君問題と同じで、マニュアルを読め以前に、読む気にさせるマニュアルか、読んでわかりやすいマニュアルかどうかを問う必要があります。何度も反復して試行錯誤しないとわからない 「読み解く」 ようなマニュアルでは、マニュアルを読まない側を責めるのは酷という物です。
 残念ながらマニュアルを読み解かないといけないような物の場合、この時点で、製品としての品質が悪い、と言う事になります。マニュアルは、製品の一部です。「マニュアルを読めば書いてあるのに」 という言葉は、わかりやすく確認しやすいマニュアルであってこそ通じる物です。細かい字でびっしり書かれていて、索引にも統一性がないマニュアルで 「最低は 200W 」 というのを見つけるのは、それこそ 「全文検索」 機能でも内蔵してない人間でもない限り無理です。
 オタク的感覚では、訳のわからない難解なマニュアルを読み解いて使いこなす事こそ、なのかも知れません。オタク系の人間は、他人に出来ない事が出来る事がことさらうれしいという傾向があり、私もそんな要素があります。けど、それはあくまで高度な事を意味するのであって、単に 「できが悪い」 ものを使いこなすのは 「すごい」 のではなく 「ごくろうさまw」 でしかないのです。これは、マニュアルに限らず、製品そのものの操作性・視認性が悪くて使いにくい 「出来損ない」 の製品の操作についても、同じ事がいえますね。例えば、わざわざクライアント OS に Linu(ry
 この辺が、かっこいいオタクになるか、それとも単に偏屈という意味でのオタクになるかの分かれ道の一つではないでしょうか。かっこいいヲタクは、人に出来ないすごい事を、ニセモノのオタクは、する必要のない面倒な事を抱え込んでそれを華麗に裁く事ですごい 「ように見える」 だけのお話…。
 と、だいぶお話が逸れましたが、今回触れるのは 「マニュアルの入手」 に関してです。製品を買うとマニュアルが付属してくるのは本来当然なのですが、それが昨今 「CD-ROM に入ってますのでそちらを見てください」 というのがちらほら見られます。これ、資源がどうとか言い訳はどうでもよく、単に 「経費削減」 でしかありません。
 どうせドライバを添付するのに CD を添付するので、それに一緒にマニュアルを PDF にして保存して、紙のマニュアル分の経費を浮かせよう、というだけのお話。不便で仕方ありません。電子媒体万歳の私ですが、それでも、こういう時ばかりはレガシーメディアである紙万歳です。
 でも、じゃぁ、PDF は要らないの? というと、これまた No です。PDF は必要です。そもそも、製品を買って導入した後、どうするでしょうか。マニュアルを保存しておくのは、意外とじゃまです。まぁ、それほど物を持っていない人ならたいしたことないかも知れませんが、所持品が増えてくると、マニュアルを置く場所だけでかなりの領域をとられますし、それを整理するのは面倒です。例えば、要らなくなって捨てた製品も、いちいちマニュアルをマニュアル箱から探し出して、マニュアルそのものも捨ててしまう手間をかけるかというと…意外とそうでもありません。
 実際問題、私のお部屋の整理も、未だにその 「マニュアルの山」 の整理がついておらず、コンサバトリの一角に山となって放置されています。これを整理するのは一日仕事です。面倒です。なので、捨てられる物は捨ててしまいたいです。
 というわけで、希望としては、紙のマニュアルは、導入が完了して、安定してきて基本的には参照する必要がなくなったら、古紙回収のリサイクルに出して廃棄処分とするのが理想的です。そして、必要になったら PDF のファイルを NAS か何かかから取り出して見ればいいのです。導入時と違って、一度にほぼ全ページのあちこちを反復的に参照する事もないでしょうから、このときは PDF でも問題ないと思います。
 ただ、NAS に CD をセットしてコピーするのも面倒です。理想的なのは、必要になってからメーカーのウェブサイトから落とす事です。これは、同時に改訂されたマニュアルを落とす事も意味しているので、古いマニュアルで間違った記述をそのまま使ってしまうリスクも防げます。ウェブから探す手間はありますが、そうそうマニュアルを見る必要に迫られる事もないと思うので、問題ないと思います。
 なので、例えば、何か製品を買おうとしている時にウェブで事前調査をしている段階では、マニュアルがウェブからダウンロードできるようになっている会社の製品かどうか、というのは、それなりに商品選定要因になっていたりします。必ずすべてというわけではありませんが、どちらか天秤にかかった場合には、当然、ダウンロードできる方であり、高度な製品になればなるほどその傾向は顕著になります。
 それは、単に 「サポートが良くてあとから必要になった時にマニュアルをウェブから落とせるから安心」 だから、というだけではありません。製品選定時には同時に、ウェブでは製品の仕様を見たり、写真を見たり、ぐぐるして人のブログを見て感想を見てみたりするわけですが、比較的高価な物や、性能、使用感を詳しく知りたい物に関してとても参考になるのが 「製品マニュアルを見る」 のです。購入する前に、PDF でマニュアルを落として読んでみるわけです。
 これによって、ウェブに書かれた仕様表以上の製品の性格を読み取る事が出来ます。実際の操作方法、使い勝手、出来る事・出来ない事がマニュアルから読み取れます。仕様には書いていなかったものの、操作上制限があったり、書いていないのでわからなかった事が、実際の設定操作を見ればわかったりすることもあるわけです。これにより、自分が使う状態のことをエミュレートでき、製品を安心して買う事が出来ます。もちろん、逆に買わない判断になる事もあります。
 この 「買わない判断」 が微妙です。「〜が出来るって書いてあるけど、実際設定する時に複雑な設定が必要な事がわかった」 とか 「この機能とは同時に設定できないみたい」 なんていう場合、買う事がためらわれてしまいます。メーカーによっては、これを恐れてあえてマニュアルを公開していない所もあるようです。ただ、そんなメーカーの品物はそもそも信用できませんし、半ば消費者をだまして買わせたような物。消費者がその欠点に気づかずに購入してくれることを祈ってる製品なんて、買いたくありません。
 単純にパンフやカタログ、ポスター/CM なんかで 「なんでもできる夢の製品」 的なイメージを植え付け、欠点を隠し、価格競争的にも一流メーカーのものと同じ事ができるかのような錯覚を持たせたうえで、値段が安いという魅力を消費者に与えることができたりするわけです。マニュアルが見れたら、それはバレてしまいますからね。購入後、たとえ消費者にとって「買って失敗したリスト」 になったとしても、すでにメーカーや担当者の売り上げになってるのですから、それで良い、売れれば勝ちというくらいにしか考えていないのでしょう
 つまるところ、マニュアルをきちんと公開している所は、単にサポートに気が利いているというだけではなく、それなりに責任と自信を持って製品を販売してる意味もあり、安心です。小さい会社に限って、マニュアルを公開していなかったり 「必要なら購入してください」 と言って、小銭を稼ごうとしたりします。そんな事してるから、いつまでたっても一流メーカーになれないんだってw
 そんなわけで、メーカーのサービス担当者様。マニュアルは必ずウェブからダウンロードできるようにしておきましょう〜。同じ意味で、CD 探す必要がなくなるために (変更がなくても) ドライバも乗せておきましょう〜。再インストールやトラブルの時にわかりやすいメーカーの品物は、次回以降も有力な選定候補となります。一方で、それがないメーカーのは…。