デフォルト委員長

 読書感想文のお話で小中学生時代の話をアシさんとしていて出てきた話が 「デフォルト委員長」 です。私は中学/高校と主に生徒会でしたが、同時にいわゆる 「イインチョ」 もやってました。生徒会とは同時にできない場合もあったのですが、その場合やってる事はどちらも同じでした。というのも、イインチョはクラスのなかをアレコレするというのもありますが、同時に 「イインチョ=クラス代表で生徒会に参加する議員」 みたいな感じで、結局生徒会活動をするからです。
 生徒会内部のお仕事を兼務することもありましたが、基本的には生徒会役員は生徒会役員ですけどね。生徒会でまず全体の方針を決めて、クラスから各1名の学評を含めて討議し 「この件についてクラスの意見をまとめて次回の評議会で提出してください」 みたいに出します。それを各学評がクラスで「クラス会」を開いてあれこれもめて、結論を出したらそれをクラスの意見として持ち寄り、また話し合う感じですね。
 その結果を元に、生徒会で決定を下して、また学評を交えて討論して、持ち帰って貰い、各クラスに伝達/実施して貰う、という感じです。この傾向は上の学年に行くに従って強くなり、学評と生徒会委員の役割分担が強くなってくるので、私は生徒会に行くようになりました。
 こういう話し合いは放課後みんなが帰った後に行われるので、冬なんか暗くなってくるし、特に中学時代 TRPG をたっぷりやっていたときには、GM の私が会議に出ていて開催できない日があり、とても辛い思いをしていました(@@
 ちなみに、この「イインチョ」 といわれる役職の呼称は小学生時代が 「クラス委員長」、中学・高校が 「学評(学年評議委員)」 という名前でした。「イインチョ」 という言い方は、この小学生時代の 「クラス委員長」 の 「委員長」 から来てるのかもしれませんね。
 さて、このイインチョですが、どういうわけか担当者みたいな物が事実上が決まってたりします。例えばクラス替え。新しいクラスになり、先生がきまり、学期が始まります。そうすると、他の委員(生き物係みたいなのw)は後で決めるとしても、とりあえずイインチョだけは決める必要があります。小学生の時は男女一人ずつ、どちらが上という事もなく選出されますが 「とりあえず」 で決めるときは、先生の目についた人一人が生け贄になりますw
 私がその生け贄になることがデフォルトになっちゃっていて 「あ〜、●●、とりあえず頼むわ」 と言われていきなり指名されることが多かったです。もちろん、拒否権は(事実上)ありませんし、形式的にクラスのみんなに 「●●でいいな?」 と同意を取りますが、見ず知らずのどうでもいい存在に、異議を唱える強者もそうそう折らず 「いいです〜」 と同意を得られて「決定」しちゃいます。
 もちろん、イヤだと言えばやらなくて済むかもしれませんが、あとあとお説教が待っているか、ひどいときにはお説教の後、やらされる(やると言わされる)世界でした。今の学校はどうなんでしょうね。私が小学生時代は、プロアクティブさを見せない「小学生らしくない」子は結構怒られたものです。
 ホンネはたぶん先生としては、前年イインチョをやってた人の方がノウハウを知ってるので楽なのでしょう。例えば、職員室のどこに何があって、どうやって連絡したり手続きをすればいいか、イインチョの仕事は何か、という事がわかってるので教える手間が省けるからです。もっとも、当時はそこまで考えておらず 「なんかまた私がやらされるのか〜。目をつけられたわね」 という程度でした。嫌いじゃなかったんですけどね。
 この 「暫定イインチョ」 がその後正式なイインチョに取って代わられることはほとんど無く、少なくとも私の場合は全てのケースにおいてそのまま正式な女子側のイインチョとなり、男子の側から誰か適当に選任されて正式な男女一組のイインチョセットができあがります。
 余談ですが、今は比較的人見知りするものの、小学生から中学生くらいまでの私は比較的図々しかった方で、目立って先生にも目をつけられてました。「学年の問題児(必ずしも悪い意味ではなく"要観察"程度)」をあげるとしたら、トップを争う存在で(^^;。今ではあり得ない事を色々やってました。
 今でもよく覚えている理不尽なオコラレがあります。それは 「ユイの貸し出しやさん」 です。小学校の頃はとかく色々な物を持ってこさせられます。ノリだとかハサミだとか、画用紙だとか、ペンだとか、もちろん、普段の消しゴムだとかペンだとかも。
 そういう物を持ってくるのを忘れる人が必ずいます。私も忘れますが、忘れるからこそ忘れないように、常時学校に置いておくようになりました。そこでふと思ったのが 「忘れた人に貸してあげよう」 というのです。
 例えば、ハサミならハサミを5個くらいなど、同じ物をいくつか持ってきて、授業で使う物を忘れた人に貸してあげる、というサービスを始めました。実に、イインチョらしいみんなの役に立つ、ピンチを救ってくれる良いサービスじゃありませんか('∇')。結果、忘れ物をして先生に怒られる人がほとんどいなくなりました。これで先生にも誉められるかと思いきや…。
 バレたとたんに、逆に先生に怒られました。別に悪いことをしてるわけではなく、むしろ人の役に立つ、イインチョとして立派なことをしてると思ったのですが、逆に怒られます。もちろん、納得いかなければ先生と争う姿勢は今と同じw 結果、親にまで話が行き怒られる形になりました。当時は 「納得いこうといくまいと、先生に言われたらハイといえ」 という、ハートマン軍曹みたいな思想が当然でした。
 私は普段、あまり子供らしいことで怒られることはなく、周囲の評価としてはおとなしく良い子だったようです。なので、時折呼び出されて怒られることがあるのを、友達なんかは不思議に思っていたようです。あばれたりイジメをしたり宿題を忘れたりサボったりすることがないので「何で怒られてるのか」というのは色々聞かれた記憶があります。
 この 「貸し出しやさん」 は結構人気でしたが、結局、先生としては 「忘れ物をしたドジっ子が、忘れたことを申告して怒られる」 という事象が発生しなくなり、その子に忘れ物をする罪悪感が根付かない、反省させられない、忘れるのがクセになる、という点が問題だったようです。けど、小学生の私にそんな複雑な事情はわかりませんw
 良いことをしていたのに怒られる、しかも納得のいく説明はない。しかも、忘れ物をした人がいて「忘れました」と申告して "怒られた後" なら、その人に道具を貸してあげると「親切な子」として評価されます。貸して良いのかいけないのか。納得がいきません。こんな事から子供はだんだん人間不信になりますw
 もっとも、この件で親まで怒られたのは、私の貸し出しサービスを禁止した先生の行動が、ユイから借りても貸してもいけません!的な発表をしたところクラス中で、おかしいとみんなが反論しだしてちょっとした騒ぎになったのがあるかもしれません。先生から見たら 「面倒を起こすダメな子」 だったのでしょう。でも、先生とは仲良かったんですけどね。怒られた記憶と同じくらい、仲良くしていた記憶がありますが、この話はまたの機会に。
 いずれにしても、今から考えると、そんな問題を起こしたような子にイインチョをまたやらせるというのは、先生というのはよくわからない難しい存在だなぁ、と思うのでした。私なら、マンガのイインチョみたいなおとなしくて面倒を起こさない人畜無害な都合の良い子をイインチョに任命しますけどね〜。他にイインチョ経験者が居ても何故か私にされるので、意地悪されてるのかと思いました。
 じゃ、最初にイインチョをやったのは何で? というのがあると思います。生まれついてイインチョだったわけじゃありませんしね。最初は、イインチョに選ばれた子と仲良くしていて、色々手伝っていたり一緒にやったりしたのが原因かもしれません。これは結果的には申し訳ないことをしてしまい、先生からは 「お前が最初からやれ」 みたいな話になって、次回から私がやる羽目になったのでした。本人にとっては私に乗っ取られたみたいで、いい気はしなかったことでしょう。私にはイインチョなんてやりたいとも何とも思ってなかったのですが…なんか、私はあまり良いしてませんね(^^;
 こう書いていると、私が優秀なイインチョだったかのように見えますが、実際にはあまり優秀ではなく、特に小学生時代は指名する割には面倒な委員長だったはずです。基本的にあの時代、先生に言われたことを言われたとおりにやるのが、理想的な委員長でしょう。つまり、先生の手先ですねw
 けど、私は何度かすると勝手に勧めるクセがあり、クラス会などで先生がちょっと目を離した隙に、意図しない物が決定されていたり進められてることがあって、慌てて取り消しにされることがありました。クラス会でイインチョが取り仕切って決めたことを先生から取り消されるのですから、イインチョとしては立場がなく、その度に 「じゃ、もう私やらない!」 と福田さん並に投げ出そうとしてトラブルになったことが何度もあります。
 先生としては、ある程度先生が線路を敷いて 「じゃ、みんなの多数決で決めたら?」 という風に誘導しつつ、意図した結果を(表面上は)生徒自身に決めさせるというのが小学校時代のイインチョの存在だった気がします。もちろん、当時はそんな大人のドロドロした思惑は知るよしもありませんが。
 例えば、生き物係に立候補した子が、あまりちゃんとできなくて金魚が一匹死亡してしまったりしていたので、いわゆる 「不信任決議」 をしてクビにして、他の子に入れ替えるという事を勝手にやってしまったことがあります。議題としては、クラスの子から「生き物が死んじゃう件について」 的に提議された物(目安箱みたいなのをつくった)でしたが、結果的に 「じゃ、ちゃんとできないならできる子に変わって貰いましょう」 という決議をしたのです。
 当時生き物係は比較的人気のポジションで、家で同じ種類の生き物を飼っているなど経験者が希望していたりすることもありました。なので、できないならできる子に変わって貰えばいい、ということで、民主的に決議を取って、後任者を決めて交代したわけですが、先生に許可を取っていません。取る必要があるのかも明確にされていませんし、表面上は生徒がクラス会で決めたようになってるので、変えるのもクラスのみんなで決めればいい、という感覚があったわけです。
 けれど、先生サイドとしては、ダメな生き物係がダメだからとやめるのではなく、ちゃんとやれるよう本人を指導したり言い聞かせたり、場合によってはお説教をするなどの 「教育」 をしたかったわけで、生徒の間で勝手に生き物係を更迭して後任を選出してしまったのでは困ったのでしょう。この辺の大人の事情も、子供だとわからないんですよね。大人だと普通に行われてることだけど、子供はダメっていうあたり理解しにくいですし。