くみたてくん

 帰宅して一息ついたら、早速 PC を分解します。ハードウェア取扱説明書は事前に公式サイトからダウンロードし、職場で印刷して持って帰ってきてありますw メーカー製のうちサーバ機はこういうのが手に入るので便利です。HDD の交換の仕方、ケースの分解の仕方などが細かく載っています。
 問題となるのは CPU。というのも、メーカー製のものであれば独自仕様の CPU クーラーやリテンションを使っている可能性があるので、果たしてどうやって…と思ったのですが、リテール品と同じようなもので安心しました。…でも、リテール品のはず仕方を当然知りませんw 確か Socket 370 や 423 の時代はレバーを倒してするんだっけ…なんて言う感じでしたが、レバーなんてありません。
 ウェブを検索した物の、当たり前のことだからか記載が全然ありません。あったとしても「取り付け方」であり、外し方の記述が見つかりません。軽く記載されていても 「矢印を反対の方向になるように回せば外れます」 と書いてあるだけで、詳しくない…。
 とりあえず矢印の向きをマイナスドライバーで直角に回して引っ張ってみました…が外れません。う〜ん。しばらく試行錯誤しているうちに壊すパターンが目に見えてきて、ふとルカさんの顔が頭に浮かびましたが、どうもレバーは押し込まれているのがマイナスを回すと引っ張れるようになり、それをかちんと外すとロックが外れるようです。その状態で何とかがんばると外れました。回すだけじゃなく、どうも引っかかる形状のようで持ち上げてから引っかかりを外す感じになるようで…。う〜ん。
 さて、はずしましたが、次は CPU。これもなかなか困りものです。LGA775…。初めてのご対面です。レバーを持ち上げると、鉄板の抑え金具のような物が外れます。今までの CPU は刺さった CPU の足をつかんで固定する形式だったのが、この LGA775 では、CPU そのものを押さえつけて、足は触れているだけ、という形式になっているようです。抑え金具を外すと CPU がひょいととれました。
 グリスがついた CPU をポイッと投げ捨て、いよいよ Xeon 君の取り付けです。これがドキドキ。なにしろ、Xeon 本体にも、また、通常売られているマザーボードのこの CPU ソケットにも保護材がついていて、大変デリケートのようです。ホコリとかが入ったら、即動作不良の感じがして、クリーンルームで作業をしたくなります。ドキドキしながら手順を頭の中で復習し、いざ! 切りかけ2カ所の位置を合わせて、CPUを載せます。もう、MB 側に生えているピンが微細すぎて目に見えないほどです。CPU の方は SD カードとかの接点みたいに単なる金色の平らな部分があちこちにある感じで、地味です。つまり、ピンは刺さるのではなく 「触れる」 設計なのですね。ピンの製造コストを Intel からマザーボードメーカーに転嫁した感じですw
 無事載せ、押さえつけ金具をおろしてレバーを元通り固定。…大丈夫だったかな? 無事に置かれたかな? ピンは曲がらなかったかな? ホコリが入ったりして接触不良はないかな? ドキドキです。
 そして、次に一番のドキドキの作業。CPU クーラーの取り付けです。まず、銀粉末含有のグリスを注射器から取り出し、5mm くらい出して、それを、同時に買ってきたへらで薄くのばします。薄く薄くのばすことがコツだというのが Socket 370 時代の知識ですが、きっと同じに決まっています。
 なぜなら、このグリスの役割は、金属と金属をくっつけた時に、目に見えない微細な凹凸の隙間を埋め、密着度を高めること。つまり、それだけ微細な隙間が埋まればいいのです。それには、塗ったと目に見えてわかるほど塗ってあれば、もう充分なわけです。実はうちの職場の職員が暇な時にラボで実験していましたw 量は少なくて良いですが、真ん中にちょんと載せて、CPU を押しつけて広げる方法では、圧力不足で全体に広がらなかったり、望み通り薄くならなかったりするのであまりおすすめせず、少量を均等に塗り広げておくのがよいようです。
 とは言った物の…実際やるとなると「どこまで薄くて良いのかしら」 ということです。私はこの手のパターンで 「できるだけxxx」 と言われた際に、やり過ぎて小中学生時代にもよく怒られました。できるだけ沢山の竹材を持ってきてくださいと言われたので千葉に住む知り合いにお願いして 2t トラック山盛りの竹材を学校に持って行ったことがありました…。また、鶴をできるだけ沢山折ってきてくださいと言われて、一人で1,000羽鶴ができるほど仕上げてしまいました。実際必要だったのはクラス全体で100羽くらいでした…。
 というわけでこの手の 「できるだけなんとか」 の言葉は嫌いです。できるだけ、というので本当にできるだけやると、大抵はろくな事になりません。お料理の「レシピ本」でも、適量というのを書いているのを見ると、この本はいったい何のために存在するのかしら、と、買ったことを後悔させられますw
 というわけで色々調べてみたもののわからず。とりあえず壊れないであろう範囲を、頭の中で金属粒子同士がくっついているようなシーンを妄想して、このくらいかしら、と適当に薄く薄く、器用に塗り広げて装着しました。何度も不安になり塗り直しましたが、今度はどんどん乾燥してきてしまうような感じだったので、慌てて装着しました。はずした時のピンを 90 度また回して押し込み、装着完了です。
 書き忘れましたが、この、はずした CPU クーラーについている古いシリコンを綺麗に落とすのにはなかなか苦労しましたが、これはアシさんが頑張ってくれ、鏡面化してくれたので、ピカピカとなりました。
 あとは、DIMM の取り付けや HDD の取り付けですが、これは手慣れた物なので、簡単に終了です。

(つづく)