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 基本的に横文字でも固有名詞以外はアルファベットではなくてカタカナで書くようにしてるのですが、結構違和感がありますね(^^;
 さて、Cluster さんの日記に @nifty掲示板としての終焉についての話題があったので再度触れてみたりします。この話題は以前にすでに MSN でのチャットや日記でも触れてたりするのですが、もう一度おさらいという感じで。
(→続き)
 私は@niftyパソ通でのアクセスはすでにしていませんが、過去には前進の Niftyserve は Comuserve と並んで貴重な存在でした。今は 2ch とかで巨大で人口も多い掲示板がありますが、Niftyserve の会員制で "ある程度身元明らかな人の集まり*1" による情報や意見交換というのは、2ch などの非会員制の世界とはまた別の文化と存在意義がありました。
 実際古参の人は、例えばとある製品を買おうとしたときには、2ch の 「忌憚のない」「ウソ交じりの」 雑多な意見と、Niftyserve の 「お世辞も含めた」「及び腰の」 意見の両極端な情報を参考にしてその製品について考える、という人は結構いました。
 インターネットが普及してからも Nifty がダイヤルアップによる直接接続や危険な telnet だけでなく、Interwey という形で Web からフォーラム内の会議室 (一般的にいう掲示板) を参照できるようになったのは結構便利でした。世間の Web 掲示板というのはどうしても見た目として重いので、シンプルな掲示板という意味でとても利用しやすかったものです。
 知らない方のために書いておきますと、Nifty では例えば 「車のフォーラム」 みたいな形でそれぞれの "フォーラム" に分かれていました。モバイル機器のフォーラムとか、いろいろ。その中に、会議室といわれる、一般的には掲示板といわれる使い方がされるものがありました。フォーラム内の掲示板は、本当に掲示板という感じで、お知らせを掲載する感じだったので、Nifty で会話するといったら会議室だったりします。
 で、結局 @nifty としてはその 「フォーラム」 もここ数年のうちに、世間でありがちな趣向に傾倒してしまい、数年前から "webフォーラム" という、インターネットで一般的な Web 掲示板システムによく似た形態に移行してしまったことで、完全に存在価値が失われた感じです。この移行はフォーラムの主催者達の任意ではあったのですが、推奨されていた*2為どのフォーラムもみんなこぞって移行してしまったというのが実情です。
 最初は会員達もその目新しさや多機能性を面白がっていたものの、結局その移行は Nifty としての独自性を失う結果となり、一人、また一人と 「常連」 の皆さんが姿を見せなくなりました。私も出入りしてた既存のフォーラムが Web フォーラムに次々と移転してしまうと同時に、そこに出入りしなくなりましたから…。
 会員制であることには変わりはなかったものの、会員でなくても書き込めるところがあったり、一部閲覧できるなど、会社の戦略としてヘタに外部の人を取り込んで利用者を増やそうという八方美人的方針を取った事が、Nifty としての identity を失わせてしまった感じです。そうしてしまった結果 「Nifty である必要がない」 ということで、お金もかからず気軽な 2ch などの掲示板に移行するか、ローカル Web 掲示板などに降りるユーザーを数多く生み出しました。
 それでもそのユーザーの多くは、常連同士のつながりを保つために ID を残して契約を続けていたりしたのですが、昨今それですら 「解約・サヨウナラ」 してる人がかなりの数にのもぼりました。多くの解約のきっかけは 「Webフォーラムかされてから出入りするフォーラムがなくなり、@nifty 自体見なくなったから」 というものです。
 そんなわけで、現時点ではすでに "NiftyServe 的"…つまり情報交換や交流の場としての @nifty の存在価値はほぼゼロになってしまっています。実際この 1 年で同様の理由により私の周囲の古参ユーザーの半数以上が解約しています。私としても、すでに解約に悔いなしなのですが…一時期はとあるフォーラムでシスオペをしていたり、数多くの人と知り合うきっかけとなった場であり、悲しいですね。
 私の活動は、草の根 BBS が主流で自分で Host を立てていたりもしましたが、NiftyServe は 「公式な場」 として活動をするのに抜きには語れない場所でした。奇麗事やうわべの意見が数多く見られ、行き過ぎた自治による 「良い子主義」 は当時かなり嫌いだったのですが、インターネットの匿名掲示板が世間での主体になった今となっては、その反作用としてかえって存在意義がいまこそ生まれている気がするほどです。
 先述のように、すでに私にとって @nifty の社交場としての機能は事実上消滅しており、理論的にはなくなっても全く惜しくない状態です。実際、最後に @nifty にログインしたのっていつかしら…。でも、いざ本当になくなるとなると、やっぱり悲しいです。数多くの事を学び、経験してきた場所がいよいよなくなるのは、そういった 「実用性」 ではない別の思い出としての面で残念ですが、思い出を残すためだけに運用をするほど世間は暇では無いので、これも一つの時代の流れ、ということでしょう。
 余談ですが、会員制ということで似たような話として mixi なんかの SNS を上げる人がいますが、私はあの手のサービスは好きじゃないので、近寄ろうとは思ってません。実際、最近ぜんぜん覗いてません。紹介制という小学生の秘密基地みたいな神経の細さみたいなものが生理的に受け付けません。ヲタ文化を否定するつもりはありませんが、嫌いな面があるとしたら、こういう閉鎖的で精神的に根暗な部分です。
 ただ、なんであえてこうやって 「仲間内ごっこ」 みたいなものが運用されるかといえば、それはインターネットという "だだっ広く垣根のない平らな世界" に大勢の人がいる中で、だれとどう付き合っていいかわからなくなったという、現実社会と同じ悩みをネット上で感じ始めた人が多い証拠ではないでしょうか。
 人間は昔から、クラス別けや部活動などの、特定の小集団を強制的に作られて範囲を限定されることで、その限られた中で友達を作るという事に慣れてきています。ネットのように世界中と垣根がなく人がいて交流を持つ環境には慣れていません。昔はネットも限られた人しか使っていませんでしたから問題なかったものの、特にネット人口が増え、小学生からおばあちゃんまでネットをして、ブルーカラーもホワイトカラーも、テロリストから大統領まで、犯罪者ですら手段としてインターネットを活用する時代、だれを信用してよくて、だれに声をかけていいのかわからない世界です。
 そんな中で、mixi のようにあえて柵を絞って 「仲間ゴッコ」 をすることで、昔に回帰して過ごしやすくしよう、という気持ちはわからないでもありませんし、それは昔の NIftyserve 時代の掲示板システムが残っていて欲しかったと思っている私の気持ちと、そう遠いところにあるものではないのかもしれませんね。

*1:本名が出ないという意味で匿名ですが、ハンドルは自由に変えられても ID は固定なので、身元は明らかなわけです。

*2:といいつつ実は半強制です