かいため

 あるふぁさんの日記にあった、量り売りのお話です。基本的に、量り売りは嫌いじゃありませんが、事情には、お店側の事情だけではなく、むしろ買う側の立場として多少は微妙なところがあるという事情がありそうです。
 まず、量り売りをする際に、お店の人に声をかけないといけないこと。すいていれば別にいいのですが、混んでる時につかまえて 「xxxのサラダを 200 と、yyyy のムニエルを4切れください」 というのが、結構面倒。それより、250g でパックになってるのをもって帰った方が、スムーズで気楽だったりするようです。
 あとは、お値段の感覚。基本的に、量り売りは 「高い」 という印象があります。パックになってる物は、あまり物かもしれませんが、不思議と 「単価が落ちてる」 印象があったりします。人手を煩わせて、自分用に計ってもらうより、お店の都合で分量を決めてパックしてある商品の方が、安そうです。
 コメントにも書きましたが 「100だけじゃ悪い気がする」 とか 「え?ポテサラだけ?」 みたいな感じで、余計なものも買いそうな雰囲気もあります。パックなら気兼ねせず必要なものだけを買えますから。それに、止まって 「ポテサラ100お願いします」 とお願いすると、ポテサラをそれっぽい重量分取って、機械で計って、値段の入ったラベルを印刷して包んで…と意外と時間がかかりますし。
 つまり、売り側の人件費計算などだけではなくて、買う側にも抵抗があるんじゃないかしら、と思うわけです。結局、気兼ねなく買えるのは、むやみに混み合っていない店舗で 「合鴨とキャベツのオイスターソース和えとえびとリンゴのポテトサラダをそれぞれ 300 ずつと、ガーリックチキン 4 切れと、あと、ついでにこの鳥のレバーの柔らか煮を 200 ください」 みたいに、たっぷり買うことができる人くらいなもので、一人暮らしの少量買いはやっぱりしにくいんじゃないでしょうか。
 あとは、実際に大抵は量り売りが併設されているお肉のコーナーでも、見ていると 9 割近い人が、量り売りではなく、パックになっているお肉を買っていきます。売る側が嫌がってる、というだけではなくて、あっても買う側が利用しない、というのが多いようです。
 私も考えてみると、量り売りしてくれると無駄がなくていいなぁ、と思うのですが、実際買ってるシチュエーション考えると、量り売りで 「どれくらい買おうかな…」 と悩まされるより、ある程度まとまって売られてる方が、適当に買えていいかな、と思わないでもありません。
 例えば、たまねぎ買うとき 「うーん、シチュー作るのには2個でいいんだけど、でも、買っておけば使うだろうから、3個くらい・・・いや、4個くらいかなぁ・・・でももったいないから3個でいいかなぁ・・・やっぱりシチュー作るだけだからとりあえずは 2 個で・・・でも、野菜炒め作るかもしれないし・・・」 と、意外と面倒です。5個セットで売られてれば、それを買っていって、冷蔵庫に入ってるそういった食材の状況を見て、何を作るか決めることが多い気もします。
 まぁ、要は、量り売りもキメ売りも両方あって、消費者が選べればいいんでしょうけど、少なくともお肉やお魚の 「すでに昔から両方あるもの」 が、量り売りもあるのに使われてない状況を考えると 「あっても消費者が利用しない=使われないのに人件費だけかさむ」 ということで、お魚とお肉以上に使われない可能性が高い他のコーナーでは難しいのではないでしょうか。
 それに、販売戦略上、最初は普通に言われたとおり売っていても、絶対余計な事を考える 「やり手社員」 が、「受身ではなくて売るための積極的販売」 とか言い出して、お客に対して無駄な営業を行うように指導するのは目に見えてます。tomato3個でいいや、と思っても 「今日のはほら、新鮮だよ!5個お買いなさいな!」 みたいに言われたりするわけです。5個買うなら、量り売りの意味ない…むしろ余計なストレスで買わされる方が、マイナスです。そう考えると、5個パックのトマトと、量り売りで人が立ってるトマトとでは、5個パックのトマトが売れる気がしないでもありません。
 「必要だ!」 と叫んでおきながら、いざできたら使わない、ということが多いのが消費者です。叫んだからといって使う義務はありませんしね。「消費者の声を素直に聞くことが市場を得られるわけではない」 法則です。消費者は素人、実は自分の 「本当の欲求」 すら整理できないのが普通だったりするようですから。