新し物好き

 本当はグルグルの一部だったのですが、文章が複数行になったので、ちょっと独立してみました。

富士フイルム、3型液晶とISO1600撮影の「FinePix V10」国内発表

 F10(F11) よりいいデザインだな〜、と思ったのですが、性能は結構格下みたいで、F値は 2 通りしか選べないし。でもお手軽価格なのかと思ったら 4 万 5 千円という事で果たして実売ではどうなるんでしょうね。バッテリーは F710 と同じ伝統の NP-40 でなかなかですが、できれば NP-60 にして欲しかったな〜。F10 ほどまでは要らないし、Z1 見たいな薄型である必要は無いという人にはこの V10 がお勧めかな? でも、個人的には、後ろの液晶が大きい事って、実用上のメリットはあまりないんですよね。 もう一つ廉価モデルが発表されてるけど、乾電池という文字を見た時点で、詳細を見る必要なくボツ決定w
 で、ちょっと注目すべきはこの機能。

 完全にソフト的な機能であって、他の機種でももしソフト更新ができるような仕組みになってさえいれば簡単にできそうな気がしちゃうわけです*1。ハードウェア面以外で感心させてしかも欲しいと思わせるような機能ってすごく久々に見ました。どれくらいかっていうと、リアルタイムで現在撮影した場合のシャッター速度と ISO と F 値が常に表示される液晶画面を見たときくらい。
 何でこれにビックリかというと、あぁ、ユーザーズボイスをきちんとサルベージした結果なんじゃないかしら、よく拾い上げたよね、という機能だからです。これ 「今のデジカメに新たに欲しい機能は?」 とだけ単純に訊かれても、口から出てくるような機能じゃありません。でも、提案されると 「あ〜、ぜひ欲しいところですね」 と思っちゃう機能。…なんて書いても、デジカメでたくさん写真をとったりしてない人はそれでも同感は得られないでしょうけど。
 写真を趣味にしてるような人が、日中綺麗なお花畑で撮影、とかじゃなくて、旅行やイベントで、夕方以降や室内で撮影する時に気にする人は気にする問題です。この辺は、SS がアップされた日記を読者から心待ちにされ、沢山撮影をしてるであろうルカさんにも、もし知らなければ覚えておいて欲しい事です。
 まず、暗くなると、当然、絵が暗くなります。それを避けるために、AUTO はシャッター速度…よく画面に 1/150 とか表示されてると思いますが…が遅くなるわけですが、そうすると今度はブレやすくなります。これを避けるためには、感度自体を高めればいいのですが、そうするとノイズが多くなります。これが、ご存知カメラの基本。
 ところが、カメラにはフラッシュがついています。なので、シャッター速度がある程度遅くないとダメだと思ったら、ぶれるほどまで落とす前に、フラッシュをたいて、撮影時だけ一時的に 「明るく」 して撮影しようとします。そうすると、高速のフラッシュで撮れますし、ISO 感度も落とせます。これが、よくある普通の撮影。
 もう一つ大切な要素に、今出てきた ISO 感度というのがあります。これは、文字通り、感度、つまり、どれくらい弱い光でもちゃんと記録してくれるか、具体的に言えば、どれくらい暗い部屋でも撮影できるか、という、フィルムカメラでいえば、フィルム自体の性能です。したがって、フィルムカメラでは、フィルムの性能であり、カメラの性能ではありませんが、デジカメではフィルムに相当する CCD がカメラと一心同体ですから、カメラの性能っていうことになります。
 で、この ISO、数値が高い方が、暗くてもよく撮れます。同じシャッター速度で撮影すると ISO100 では真っ暗で何もうつらないのが、ISO1600 だと人の顔が誰だかわかるくらいにはなったりします。それなら、全部 ISO1600 で撮ればいいじゃん? と思うかもしれませんが、ISO が高いほど、画質は悪くなります。なので、理想的には、ブレが発生しないぎりぎりの段階で、できる限り低い ISO で撮影するのが基本です。
 さてここで、同じ明るさで撮影した場合、ISO 感度を高めると、その分、シャッター速度が速くなるので、ブレにくくなります。これが、テレビでよくやってる 「被写体ブレも起きない!」 というあの CM です。通常、ISO 1600 なんかで撮影すると、すでに 「記録として撮影できる事が重要であり、綺麗さの贅沢なんていってる場合じゃない」 写真になります。
 なので、私の持ってる F710 でも立派に ISO1600 はありますが、このモードで暗闇でフラッシュなしで撮影すると、ノイズが多くて実用にはなりません。ミッキーランドに行って、ミッキーを夜撮影しても、まぁ、ミッキーランドに行った証拠にもなりますし、ある程度見れますが、額に入れて飾るには、ノイズが多くてちょっとね…という写真になります。なので、この段階では Fuji も 「手振れしない」 目的にはアピールしていません。
 これを、CCD を改良してノイズを抑え、プリントしても不満にならないレベルにまで精度を高めて ISO1600 でも綺麗に撮影できるようにして初めて実用的にしたのが、FinePix F10 なんですね。ISO 1600 でも ISO400 とあまり変わらないノイズレベルで撮影できるので、ISO1600 に切り替え、その分シャッター速度を高速にして撮影する事で、手振れや、被写体が動いちゃう事による被写体ブレがおきにくくなるわけです。他社の、レンズにメカを入れて手振れをごまかしたり、画像を修正して記録したりする方法と違い、ある意味、写真的に、スマートです。
 話がそれましたが、カメラは、明るさについてはこの、シャッター速度、と ISO 感度を上手にバランスさせて撮影をしてるわけですね。もう一つ、F 値というのもあり、これもバランスしてるようですが、私にはよくわからないので、パスですw 一応、F 値が高い方が、色がはっきりした綺麗な写真が撮れる…らしいです。なので、ISO とちょっとにてますね。ひとまず、ここまでが、カメラの基本、その 1。
 次に、フラッシュについて考えてみましょう。シャッター速度とか ISO とかカメラの受動的な機能ですが、フラッシュは 「暗いなら、明るくしちゃおうホトトギス」 なかなりズルい反則技的な装備なのです。明るくなったからこれで、シャッター速度も速くなりブレず、ISO 感度も落とせて綺麗に撮影できるので素敵…と思いたいですが、ちょっとそうはいきません。
 まず、光はカメラから発せられるので当然、指向性があります。レンズの軸線上にあるわけじゃありませんから、明るくなる一方で、逆に影も作ります。また、近いところは極端に明るく、遠いところは一気に暗くなるなど、絵作りがぎこちなくなりがちです。よく、50m くらい先にある舞台の上の人や、景色を撮る時にフラッシュをたく人がいますが、フラッシュはそんな遠くまで届きませんのでむしろ逆効果になります。カメラは、フラッシュが炊かれた時の「明るい状態」に合わせて設定して撮影されますから、フラッシュを気って自動で撮影していれば移った景色や物も、フラッシュありで撮影したがためにうつらなかった、暗くなった、という事が起こっちゃうわけです。すなわち、暗い場所でフラッシュの有効範囲外の物を取るときには、移ることを祈ってフラッシュを切って撮影する方が、まだマシなわけです。
 ところで、フラッシュを使用すると必ずイマイチな絵になるわけじゃありません。設計されている時の理想的な距離で、理想的な素材でできた被写体(光を反射しないとか…)を適切な周囲の環境で撮影した時は、フラッシュを使ったかどうかわからない綺麗な写真が取れることもあります。ただ、それは確率の問題で、それはあまり高くは無いわけです。
 そこで、本題の 「フラッシュ有り無し撮影」 機能が欲しくなります。実際撮影する時、夜間のイベントでは、たぶん最高感度で手振れするかもしれないと思いつつもフラッシュなしの AUTOと、絵がぎこちなくなってもいいからフラッシュと、両方を保険の意味で撮ります。ある場合には、思いの他環境が良くて、フラッシュが無くても綺麗に撮影ができてビックリすることもあれば、もう少しマシに取れてると思ったのに、手振れしてる上にほとんどうつってないようなこともあります。フラッシュを使えば、ある程度撮れますが、あまりいい物は取れない確率が高いわけです。
 なので、フラッシュありで 1 枚、なしの高感度モードで 1 枚同じものを撮っておくというのは、非常によくやる事です。デジカメだからこそできますが、フィルムカメラじゃ現像代がもったいなくてプロでもない限りできませんけどね…。
(帰宅したくなったので、以下続刊w)

*1:まぁ、実際は即座に2枚きちんと撮れるように調整する H/W 側の工夫とかもあるんでしょうけど