寝ダメ

おはな

 クラさんの日記にあったので少しメモ。学術的なお話ではなくて、経験と若干の理論というアンケートレベルですがw 本当は自宅では日記更新しない人なのですが、あくまでメモということで…。
 土日寝ているだけで平日は会社に行っておしまいというのは、人生として生きている意味に疑問を呈するのは別の機会に譲るとして、土日に寝ダメをするというのは個人的には NG です。この土日の寝ダメには二種類あると思うわけですが、一つは 「一週間寝れなかったので眠くて土日両方寝ている」 場合、もう一つは 「来週一週間がんばるためにしっかり寝る」 という場合です。
 実際にはその両方の性質を持った寝ダメがほとんどだと思いますが、たとえば、前者のつもりで寝たものの、ついでに後者の事も考えて余分に寝るとか、そういう事がありそうです。また、前者はともかく、後者は問題です。
 睡眠のお話をしますと、人間は(標準的には)ある程度眠る限界が決まっているので、好きなだけ寝かせておいたらずっと寝ている、ということはありません。ある程度の時間がたったら、空腹なんかで目が覚めるでしょうし、一定の疲労が軽減されると睡眠があまり快適に感じられなくなり、自発的に起きる事でしょう。
 そうなると 「じゃ、寝れる限り寝ておくのが健康的なんじゃない?」 という風に考えがちですが、半分正解で、半分は危険信号です。半分正解、というのは、先述のとおり、ある程度の疲労が軽減された証拠ですから寝れる限り寝ておくのは、それはそれでよく、おきるトリガとして、睡眠が快適に感じられなくなる、というのは一つの方法だとは思います。
 問題なのは、人間の 「癖」 です。たとえば、ある程度4時間しか寝ない生活をしていたとして、寝不足感を抱いていたとします。その後、5時間半寝るようになったら、とても快適になったと感じるかもしれません。しかし、これも長くは続かないのが一般的で、しばらくすると 「寝不足」 と感じて、昼間に眠くなったり、電車の移動時間に眠くなったりすることがほとんどです。
 ここで問題になるその「癖」というのは、食事に似ていて、おなかいっぱいになるまで食べる癖をつけていると、胃がどんどん拡張してしまって、ますますたくさん食べるようになってしまい、人によっては肥満につながる、というパターンに似ているのです。つまり、4時間寝たら、5時間、5時間寝たら6時間、6時間寝たら7時間、7時間寝たら8時間、しまいには 「一日最低でも 9 時間は寝ないと、寝不足感を味わう」 という人も、たとえばあまり大学に行かない日本の学生さんや、フリータの方なんかを中心にいたりします。
 結局のところ、人間の睡眠時間というのはバッテリの充電時間のように絶対的に決まっているわけではなく、生活環境に応じてある程度フレキシブルになっていて、悪い事に、それは 「だらける方向」 に向かいやすくなっているともいえます。つまり、昨日は4時間で眠かったから5時間寝よう、という方向に、常に動きやすいということで、逆に、昨日は 7 時間寝て大丈夫だったから、6 時間でも大丈夫でしょう、という方向には動かない、ということです。
 平たく言えば 「だらだら寝ようとすると、どんどん睡眠時間は伸びる方向に行く」 わけで、しっかりとした時間寝てるのに 「眠い」 と言い出しがちです。この辺は、9割以上が心理的要因であって、気持ちが緩んでいるほど眠気を感じがちで、睡眠時間は伸びる方向に向かいやすくなります。なので、他人から見ると 「え? 8 時間も寝てるのに、眠いの?!」 なんていうことになるのです。もちろんそこには 「お仕事が忙しかったから、今の私は疲れているはずだ」 という思い込みもあると思います。
 現代社会では疲労もストレスも多いので、何かにつけて 「眠いなぁ」 と感じながら生きている人が多いと思いますが、眠いと思いながら、本当にその分長く寝る生活をしてしまうと、どんどん睡眠時間は増えていき、おそらく毎日 9 時間くらい寝るような生活になってしまうといわれています。こうなるともう、子供の睡眠時間です。
 それでは、いったいどれくらい寝ればよいのか? というお話をすると、私が大学時代の世間的科目(?)というか専門分野以外の雑学というか、そういう授業があると思いますが、その中で習った内容によれば 「理想的には 7 時間程度」 といわれています。7時間を切ると、人間は日中に、明確に「睡眠不足」の傾向を表す、または体験するそうです。たとえば、興味のないミーティング中に眠気を感じたり、ランチ直後にお昼寝をしたくなったり、空白時間に目が泳いだり、あくびをしたりする、といった具合にです。
 実際に寝たり、あくびをしたりしないのは、人間個々の社会的状態における「ストレス」により、たとえば 「今あくびしたら、上司におこられる」 のように、緊張感で押さえ込んでいるから気がつかなかったり、実際にその行為をしなかったりするだけのお話です。これは、意図的に押さえ込まなくても、無意識のうちに体が押さえ込んでいる場合もあり、たとえばそれは 「今寝たら死んでしまう」 状況で徹夜ができるのと同じです。結局それは、朝の起きるときや日中のストレスが低くなったときに、噴出します。
 この中で実験データでは、7 時間を越えた上で日中に眠気を感じたり、起きる時に寝不足感を抱くとしたら、それは当人の自意識、思い込みによるものであって、それは、先述の 「だらだら寝ようとすると 9 時間くらいは寝ないとすまなくなる」 というお話につながるわけです。実際のところは、7時間くらいに調整しておくのが、生物学的に問題がなく、健康的のようです。体感で 9 時間くらい寝たほうが気持ちよくても、もはやそれは「だらけているだけ」のお話であって、必要性はもちろん、なんらメリットがないといわれています。むしろ、7時間を越す睡眠は、脳の処理能力の低下、免疫力の低下、気力の低下など、良くない現象を呼び起こす結果になるといわれています。
 これがまぁ、大学時代に習ったものですが、専門分野ではないので良く覚えていません。ただ、この話、一方で 「90 分単位で寝ると、人間の仕様上都合がいい」 という話と矛盾します。7 時間は、90 分単位に当てはまりません。まぁ、それを語っている人が別々の人ですし、どの世界にも別の理論もあるわけで、なにも人間の仕様を決めた人がその仕様を発表したわけではありませんので、結局のところ「参考程度」でしかありません。
 というわけで、私は、両方の中間を取って、目標 6.5 時間の睡眠としています*1
 余談ですが 「睡眠適切時間には個人の差があるんじゃないの?」 みたいによく言われていますよね? ところが、これは意外と差は少ないそうです。実際には、先ほど書いた 「精神論」 的な部分が大半を占め、私はもっと寝ないと眠いんだ、私は普通より睡眠時間をより必要とする人(個人差)なんだ、と思う、のような思い込みで、眠さを感じる事がほとんどだそうです。日中の疲労による睡眠時間の増加も、実際には 「一日あたり30分程度あればかなりの差」 であって、むしろ日中の疲労の大きさは 「そのあと、通常に加え 15 分程度の睡眠延長が何日続くか」 に影響するそうです。
 あと、付け加えておきますが 「じゃぁ、7 時間が最適なら、明日から 7 時間寝よう」 とするのは、それはそれで極端です。この7時間というのは、定常的に、安定した状態で 7 時間というお話ですので、たとえば今まで5時間しか寝ていなかった人や、9時間寝ていたような人が、いきなり 7 時間にしたところで幸せになれるわけではありません。徐々に時間を 7 時間に近づけていき、その状態で安定させて、はじめて意味がある、というわけです。
 で、お話が、ぐるっと最初の 「寝ダメ」 のお話に戻るわけですが、例示した 「来週一週間がんばるためにしっかり寝る」 という睡眠のとり方は、すなわち 「寝ればどんどん必要睡眠時間が延びてしまう」 現象を誘発するだけのお話で、これをすると、その時間と同じ時間寝ることができない平日の寝不足感が増す一方になります。
 そうすると 「寝足りないんだ」 と錯覚して、ますます土日に寝ダメをするようになり、悪循環です。そういう意味で 「寝ダメ」 はいい事がありません。平日、ちゃんと寝るようにしましょう。お仕事ではなく、自分の体や、楽しいプライベートをすごす事が最優先の課題であって、お仕事はそれを実現する上での (金銭的収入を得るためのやむ得ない) "手段" でしかない事を忘れてはいけません。

*1:実際には4.5時間程度ですが…