教習所後半

大型自動二輪ロゴ

 第一段階を終えたあとは第二段階です。第一段階は、オートバイの基本的な乗り方、操作の仕方、そして走る感覚を覚える段階。言い方を変えると、公道で走る用は合図とか法律とかはどうでもいいから、とりあえず子供がおもちゃで遊ぶように敷地内で、適当でも良いから乗って、オートバイそのものをちゃんと操れるようにする、それが第一段階です。だから、交差点でのウィンカーも(一部を除き)出しませんし、安全確認なども基本的にインストラクターからの指示があります。
 教習には 「課題」 というのがあり、S字、クランク、スラローム一本橋坂道発進、踏切通過、急制動、信号通過などです。第一段階では、これらの課題についてとりあえずある程度できるようにするのも含まれています。最終的には卒業検定までにできればいいのですが、形式上は第一段階で、ある程度できるようになっていないといけないものです。
 S字やクランクは四輪免許でもあったもので、それが、二輪用にミニチュア的に狭くなっている感じです。初めて通ったときは、こんなところを、この重いのを操作して通過するの…?! とびっくりしてムリ、と思いましたが、何度かやっているととりあえず通過できるようになりました。どちらかというと、S字よりクランクが難しいですね。ハンドルを動かすと、アクセルが動き、それによって右手が引っ張られて気が付かないうちにアクセルを回してしまうことがあり、気をつける必要があります。
 二輪独特なのが、スラローム一本橋。教習所というところは、四輪の経験だと 「のんびり落ち着いて、確実に丁寧に走る」 というイメージで、急な加速は急なハンドルのようなラフな運転は厳禁。実際の路上とはちょっと違い、練習なので確実に、という感じで上品に運転しないと合格できない、そんなイメージがあります。
 ところが、オートバイの練習といったら…逆です。加速素早く! 減速もぎゅっと落として、という、メリハリのある運転が求められます。元々四輪車の公道でも急な加速はせず、青信号になっても(GT-Rでも)他の車の方が先に行くような運転をしていますし、減速も同乗者や座席の荷物が動揺しないようなのんびりとした減速です。なので、燃費が結構良いですw しかし、オートバイは、教習所にいるときから 「はい、グッと加速!」 しっかりとした加速を求められます。怖いのに…。
 その最たるものがこのスラローム。赤いあのパイロンが並べられていて、その隙間をクネクネと縫うように通過するものです。これ、なんていうゲームよw と思うような、そんな教習内容。しかも、丁寧に確実に通過するのではなくて 「8秒以内に通過する」 という、タイムトライアルです。いかにはやく通過するか、という事なわけですが…。
 ムリ?w 実際走ってみると、それなりに急な曲がりが連続する感じ。それもそのはず、正式名称は 「連続進路転換コース」 です。左右にオートバイを器用に旋回させていくスキルを見るものです。しかし…ぶつかりそうになりながら、なんとかぶつからずに通過して12秒ですよ? これをスピード出して通過するなんてムリ。S字やクランクと同様、通過するだけでも合格にしてくれて良いくらいです。それを 8 秒なんて…。シューティングゲームをやって、どうしても通過できない攻撃と段幕の激しい面で、先に進めなくて何度もトライしている、そんな懐かしい感覚w
 もう一つは一本橋。正式名称、直線狭路台。橋というのは単なる通称で、実際はただの高さ 5cm、30cmの幅の鉄板が 15m 続きます。この上を、落ちることなく通過するのですが、これはさっきと逆。いかにはやく、ではなくて、いかに遅く通過するのです。これはちょっと教習所っぽいけれど、でも、秒数既定があるのがオートバイならでわ。
 数値をきいたときは、30cm もあるなら広いでしょ、と思ったのですが、実物を目にすると…何このせまいのw しかも、それをゆっくり落ちないように走ることの難しさといったらありません。7秒かけて通過するって…結構ゆっくりです。他の課題ではこんな遅い速度では走りません。当然バランスが悪くなり、バランスが悪くなると左右に進路がずれて落ちます。
 人間、段差があるところではハンドルを下手に動かすと引っかかって転ぶことが自転車の記憶で残っているので、落ちる、と思ったときにハンドルを動かすことができません。おとなしく、トン、と落ちます。落ちたらアウト。試験本番であれば、即試験中止で、落第となります。オートバイらしいもう一つの課題は急制動。これは簡単。時速40kmだして、11mで急ブレーキです。怖いのは怖いですが、失敗したことが一度もない課題。らくちんです。
 そんな感じで、教習所というより、なんだかゲームみたいな、おとなしく上品で丁寧な運転とはかけ離れた内容を、試験課題としてやるのがオートバイ。想像と全然違います。これらがある程度できるようになるのが、第一段階です。それなりに大変でしたが、おおむねできるようになりました
 そして、第二段階では、法規走行。ウィンカーをちゃんと規則に従ってだし、安全確認をして、進路変更もして、寄せるところは寄せる、止まるところは確実に止まる、というのを組み込みます。このあたりは、四輪でやっていたのでないよう自体はとても簡単ですが、なにしろオートバイは運転するだけで精一杯。
 バランスを取りながら、加速して、クラッチとペダルを操作してシフトを適切に行って、ブレーキもいつでも使えるようにし、周囲に気を配って、あ、次は左折、ギヤを落としてバランスを崩さないように…と気をつけながらで手一杯なので、ウィンカーとか操作している余裕がありません。しかも、ウィンカーが自動で落ちない。曲がりきったあとは手で消さないといけないのです。曲がりきったあとは、再度加速して、バランスを整えて、とやっていて頭の中が消えているので、ウィンカーを戻す余裕もありませんw
 でもそんなことをやりながら、第二段階ですが、実は第二段階はあまりオートバイに乗る時間がありません。シミュレータとか、危険予測実習などの特殊課題が多く、法規走行の練習をオートバイでやる時間はちょっとしかないため、なかなか難しいのです。でも、やってくるみきわめ。なぜかみきわめは合格させて貰ったので、とうとう卒業検定。どうにもなりません。